開催報告(上映会)『トークバック~沈黙を破る女たち』

3月12日(日)上映会『トークバック~沈黙を破る女たち』を開催しました。
(主催 NPO法人くにたち夢ファームJikka×パラソル)

当日は、25名の方にお集まり頂き、映画を鑑賞。
鑑賞後は、坂上香監督のお話と、坂上監督×NPO法人くにたち夢ファームJikkaの遠藤良子さんとのトークセッションを行いました。
(※「NPO法人くにたち夢ファームJikka」は国立市内でDV被害、生活困窮女性のための自立支援を行っています。)


映画「トークバック~沈黙を破る女たち」は坂上香監督によるドキュメンタリー作品。
アメリカ・サンフランシスコで、元受刑者とHIV/AIDS陽性者の女性たちが演劇を通じて自分たちの体験を表現するストーリー。
タイトルでもある「トークバック」には、沈黙を破り「声を上げる」ことや、人々と「呼応しあう」という意味が込められています。

坂上監督のお話

(坂上監督)
制作にかけた期間は8年。交渉に2年かかりました。
その後、プロモーションのための撮影は許されたものの、映画制作の許可が下りるまでは時間がかかりました。
最終的に許可がもらえたのは、演劇活動の範囲が、最初は刑務所内だけのものだったが少しずつ外部の活動へと開いていったことも影響したと思う。

制作秘話や、試写会での参加者さんとのエピソードなど貴重なお話を伺うことができました。

坂上香監督

トークセッション(坂上監督×Jikka遠藤さん)

トークセッションでは、制作・支援に関わるお二人の思いを聞かせて頂きました。

(遠藤さん)
映画を観て感じたことは、(今の日本の社会では)被害者に語らせていないということ。
話していい、語っていい。被害者は決して特別でかわいそうな人ではない。
女性は我慢するのが当たり前という価値観がまだ根強くあると感じている。
映画に登場した女性たちのように、自分が自分であることを表現していいんだということを考えたい。

Jikka遠藤良子さん

(坂上監督)
体を動かして表現するということは大事なこと。でもそれは一人では難しい。
映画に登場した人たちも、仲間の力があったからこそ、ここまで表現し、回復することができた。 
ご飯を誰かと一緒に食べることでもいい、普段出会えない人とちょっと会ってみることでもいい。
これからも、人と人がつながるために、表現する場を作りたい。「ひらく」ということを大切にしていきたい。

(遠藤さん)
辛い経験は、隠すことでも、はずかしいことでもない。
「私が悪いんです」と話す相談者さんが多いが、そうではない。
被害者を囲い込む支援でなく、本人が持っている力を支援する、エンパワメントが大切。
Jikkaでも「ひらく」ということを大切に、地域に開いた居場所作りを行っています。

(坂上さん)
まずは辛さを十分に受け止めてもらえる場が必要。でもまだその場が足りない。
受け止めてもらった後に、自分を表現できる場所をもっと増やしたい。

アンケートより

・ずっと見たかった映画だったので、パラソルで上映していただけて嬉しかったです。
映画からは、人と人がつながっていくことの大事さ、そういうつながりを通じて人は回復できるんだなと改めて考えさせられました。
対談も、考えを深める上ですごく良かったです。

・映画を観て、女性たちが自分を取り戻していく様子がすばらしいと思いました。
坂上さんと遠藤さんの会話がとても内容が濃くよかったです。
女性が自分自身を取り戻す、エンパワメントするという場が多くあればいいと思いました。

・上映作初めて観ましたが、とても良かった。不思議な映画だと感じました。
私が女だから?思い当たる体験があるから?共感できるのか…というと、そうでもない気がして。
性別に関係なく、体験に関係なく、傷を負っている人が自分を取り戻すのに立ち会う、映画だと感じました。

・語ることで人生を生き直せる。「語る」ことの意味を改めて考えた。その反対の「沈黙」は本人が選んでそうしていると思われがちだが、沈黙を強いているのは社会であり、自分もその口をふさいでいる者かもしれないと思った
ありがとうございました。有意義な時間でした。帰ってまた考えてみます。

ご紹介したアンケートの他にも、参加した皆さまからのたくさんのコメントを頂きました。ありがとうございます。
お二人の話を聞きながら、「辛さを受け止めてもらえる場所、自分を表現できる場所」の必要性を、パラソルスタッフも強く感じました。

ミモザウイークくにたち


今回のイベントは国際女性デー『ミモザウィークくにたち期間に行われました。
今年のテーマ
「キラキラしなくてもいい。輝かなくてもいい。自分の足で歩きたい。」
~そのためにできることは何だろう?声をあげること、話すこと、相談すること、伝えること

メッセージ募集及び、パネル展示は3月末まで行っています。
上映会参加の皆さまにミモザカードへのメッセージを頂きました。ありがとうございました。